【最終更新日:2020年3月1日】
実在の建築や街並みを再現したオシャレなレゴのシリーズ、レゴ・アーキテクチャー。
通常のレゴとしてだけでなく、インテリア雑貨や大人へのプレゼントとしても人気のシリーズになっています。
そんなレゴ・アーキテクチャーからは、これまでにヴェネツィアやロンドンなど世界の有名都市が発売されてきましたが、ついに日本から東京の街並を再現したセットが発売されました!
もしかしたら、2020年の東京オリンピックに向けての製品化かもしれませんね。
日本の都市ということもあって、「なぜこの建物が選ばれたのだろう?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
僕は仕事で建築の設計をしていることもあるので、この記事では建築的な視点でレゴ・アーキテクチャーの東京をレビューしたいと思います。
若干レゴのレビューというより、それぞれの建物紹介になりますが、読んで頂けると嬉しいです!
こちらの記事では、ヴェネツィアやニューヨークなどの他のセットを紹介しています。
【レゴ (LEGO) アーキテクチャー】東京 21051を建築の視点でレビュー
目次
東京の概要
日本の首都で、政治・経済・文化の中心都市です。
東京都は、1603年に徳川家康がこの地に幕府を開いた江戸時代から日本の首都として発展し続け、現在は全国で最も多い約1300万人が暮らす世界有数の大都市になっています。
世界最大級のメトロポリスで、日本政府や民間企業の中枢機能が集積され、ポップカルチャーを始めとした新しい文化の発信地でもあります。
東京は、古き良き伝統が受け継がれている一方で、最先端の技術が融合し新しい価値を生み出し変化し続ける、多様で魅力的な都市といえるでしょう。
外箱と説明書
パッケージは、レゴアーキテクチャーお馴染みの黒い箱になっています。
このブラックのパッケージがオシャレでカッコいいのが、アーキテクチャーシリーズの特徴です。
裏側には、セットで組み立てる建物の写真が記載されています。
このセットでは、6種類の東京の特徴的な建物を組み立てます。
①東京タワー
②東京スカイツリー
③モード学園コクーンタワー
④東京ビッグサイト
⑤渋谷のスクランブル交差点
⑥千鳥ヶ淵公園
組み立てのインストラクションには、各建物の紹介が載っています。
写真がとても綺麗で、写真集としても楽しめます。
ただ、内容の紹介は英語で、日本語の記載はなし。。。
そこで、この記事では各建物を紹介しつつ、セットのレビューをしたいと思います。
セットの全景
セットの全景です。
左端の五重塔は説明書で紹介されていないので、どの建物か特定できないのですが、浅草寺五重塔でしょうか。
続いて、東京タワー、モード学園コクーンタワーが並びます。
中央に、千鳥ヶ淵公園、渋谷のスクランブル交差点、東京ビッグサイト、後ろに富士山とスカイツリーです。
富士山を借景的に入れているのが素敵です。
奥行きは基本が5ポッチですが、東京タワーの足元は12ポッチになっています。
後ろから見るとこんな感じです。
それでは、各建物を紹介していきたいと思います!
スポンサーリンク
東京タワー
東京タワーとは、総合電波塔の愛称で、正式名称は日本電波塔と言います。
航空法によって、頂点より黄赤色(インターナショナルオレンジ)と白色を交互に配した塗装となっていて、1958年に竣工して以来、東京のシンボル・観光名所として知られています。
1950年代には爆発的なテレビの普及が予想される中で「このまま各局独自の電波塔が増えると、東京中が電波塔だらけになって景観が悪化する」という問題がありました。
そこで、「巨大な総合電波塔を1つ建てて、それで関東一円の電波をまかなおう」という解決策として誕生したのが東京タワーです。
設計を行ったのは内藤多仲氏と日建設計、施工は竹中工務店です。
内藤多仲氏は、建築設計の構造力学を専門とする学者で、戦艦大和の鉄塔や名古屋テレビ塔、大阪の通天閣の設計も行った日本の塔設計の第一人者。
日建設計は、国内最大の建築設計事務所でスカイツリーの設計も行っています。
東京タワーは、当初からただの総合電波塔としてだけではなく、見た目にも美しい東京の新名所、さらにはエッフェル塔を超える高さを持つ「日本のシンボル」となることを目指して建設されました。
しかし、地震や台風の多い日本の建設環境の中で、300メートルを超す鉄塔を建てるのは至難の業でした。
設計を手がけた内藤多仲博士は、計算尺を手に(当時電卓が無かったようです!)構造計算に明け暮れ、作成した設計図は1万枚におよんだといわれています。
工事期間は、わずか1年半!
昭和34年初頭の開業がすでに決まっていたこともあり、異例のスピード工事で完成させたようです。
鳶の職人たちは、想像を絶する高所で30センチほどの足場をつたいながら作業していました。
上記の写真を見てもらえば分かりますが、安全帯はもちろん、落下防止の手すりやネットもありません。
当時の職人たちの技術への自信と豊富な知識、そして何より勇気なしには進まなかったプロジェクトといえるでしょう。
完成以来、東京のシンボルであった東京タワーがセットに含まれるのは納得ですね。
レゴのモデルでは、赤と白のカラーリングやプロポーションが上手く再現されています。
地上120mにあるメインデッキ部分。
その上部、地上223.55mに位置する特別展望台。
実際の塔はトラス構造ですが、うまくデフォルメされていて東京タワーの特徴が上手く再現されていました。
東京スカイツリー
隅田川の近くに建つ東京スカイツリーは、2つの展望台を備えた、高さ634mの世界一高い自立式電波塔です。
自立式電波塔として高さ世界一を目指し、旧国名「武蔵国」にちなんで、高さが634mに決定されました。
「時空を超えたランドスケープの創造」というのが、スカイツリーのコンセプトになっています。
東京タワーや、渋谷のヒカリエ、大阪グランフロントなどの設計も行っている「日建設計」が設計し、大林組の施工によって作られました。
高さ600mを超えるタワーの実現においては、デザイン的なイメージやコンセプトと、技術的なエンジニアリングの融合が図られています。
タワー状の構造物は、足元が広ければ広いほど安定するので、構造的に有利です。
そこで、スカイツリーでは足元の平面形状を三角形とすることにより、敷地の中におけるタワーの足元の幅を最大化しています。
一方で、上部の展望台は360度全方位の眺望が楽しめるよう、円形平面となっています。
このため、スカイツリーでは、足元から上部に向かって、平面が三角形から円形に徐々に変化していくというオリジナリティのある形態となっています。
この△から〇に向かって変化する断面形態は、タワーを横から見た時、「そり」と「むくり」という日本の伝統的なシルエットとなって表れています。
東京の新しいランドマークとなったスカイツリーも、納得の選定ではないでしょうか。
スカイツリーのシャープなシルエットが再現されています。
高さに対して、とても細いのがスカイツリーの特徴です。
高さ450mにある天望回廊と、350mにある天望デッキ。
黒いブロックの使い方が上手です。
足元は実際のように三角形ではなく、円形になっていますが、スカイツリーの独自のプロポーションが表現されています。
スポンサーリンク
モード学園コクーンタワー
新宿区に学校法人モード学園(現:学校法人日本教育財団)が建設した超高層ビル。
専門学校の教育施設で、「創造する若者を包み込み、触発させる」という意味を込めイメージしたというコクーン(繭)のような外観が特徴です。
「なぜこの建物が東京のアーキテクチャーに選ばれたの?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
というのも、同じ新宿の東京都庁舎や、お台場のフジテレビ本社ビルなど、東京には他にも観光名所となっている有名な建物がたくさんあり、学校施設で一般開放されていないコクーンタワーは、これらの建物と比べるとメジャーとは言い難いからです。
そこで、このコクーンタワーについて、少し詳しく説明したいと思います。
この建物の設計者の選定に当たっては、国際コンペが開催され、世界中から集まった150件を提案の中から「丹下都市建築設計」の案が選ばれました。
この丹下都市建築設計とは、第二次世界大戦復興後から高度経済成長期にかけて国内外で活躍し、世界で認知された「丹下健三」が開設した事務所を起源としています。
広島平和記念公園や、代々木第一体育館、東京都庁舎やお台場のフジテレビ本社ビルも丹下健三氏の設計です。
まさに、日本の建築を世界のトップレベルに引き上げ、世界の建築界で日本の地位を確立したパイオニア。
この丹下健三氏の亡くなった後、息子の丹下憲孝氏が引き継いだ建築設計事務所が、コクーンタワーの設計をしました。
「学校は夢を育む所だから、空間も夢のあるもの、見たことがない建物が欲しい」という学長の要望に応える形で設計されました。
この建物の名称にもなっているコクーンとは繭(まゆ)という英語。
繭はこれから活動を開始しようという生き物を包み込んで保護している状態です。
一方で、学生はこれから社会へ飛び出す前の人なので、『これから創造の世界へ飛び出す若者の学び舎』を繭として捉えることがコンセプトになっています。
つまり学校そのものを繭と捉え、そんな想いからデザインされたのが『モード学園コクーンタワー』です。
建物が竣工した2008年、すぐれた超高層建築に与えられるエンポリス・スカイスクレイパー賞を日本で初めて受賞しました。
観光地として考えれば、ややメジャーではないかもしれませんが、建築として世界的に評価されているこの建物をセットに含めるのは、レゴアーキテクチャーシリーズとしてはありではないかと思います。
Wikipediaの東京(Tokyo)のページにも、コクーンタワーは東京の代表的な都市景観としてトップに載っています。
特徴的なコクーン模様のデザインはプリントタイルで再現。
足元が小さく、中央部が膨らむ特徴的なシルエットがレゴでも表現されています。
東京ビッグサイト
正式名称は「東京国際展示場」といいますが、「東京ビッグサイト」の愛称で親しまれているコンベンションセンターです。
日本最大のコンベンション・センターですが、日本国外のコンベンション・センターの展示面積と比較すると、世界で78番目、アジアでも22番目(いずれも2019年時点)と実は小規模です。
中央区晴海にあった東京国際見本市会場を1996年に移転し、現在の東京国際展示場となりました。
コミックマーケットの会場としても有名ですね。
ビッグサイトのシンボルタワーとなっているのは会議棟で、四つの逆四角錐を組み合わせた形が特徴。
設計は「佐藤総合計画」という組織設計事務所が担当しました。
高さは6~8階の位置にあり、当初は高さ100メートルにする構想もありました(現在の高さは58メートル)。
2020年東京オリンピック・パラリンピックではフェンシングなどの競技会場として使用する予定のため、総展示面積を増築する計画が進められています。
日本最大のコンベンションセンターで、オリンピック・パラリンピック会場になることもあり、レゴのセットになるのも自然と言えるでしょう。
逆三角形の形状は実際と多少違うのですが、建物のバランスや色合い、特徴が捉えられています。
このサイズでも”東京ビッグサイト感”が出ています。
スポンサーリンク
渋谷スクランブル交差点
渋谷スクランブル交差点は、東京でも屈指の繁華街であり流行の発信地でもある渋谷において、最も人が多く行き交う場所であり、日本の都市風景を象徴する存在として、「世界で最も有名な交差点」ともいわれています。
この交差点は膨大な通行人数もさることながら、ニュース番組や天気予報で頻繁にテレビ中継されることもあり、設置する広告の露出効果は極めて高く、日本における屋外広告のメッカになっています。
交差点の歩行者用信号が青になった途端、四方から押し寄せる夥しい群衆がぶつかることなく整然とそれぞれの方向へ散ってゆく様子は、外国人の目には秩序を好む日本人らしさの象徴と新鮮に映るようで、交差点周辺で写真や動画を撮る外国人の姿が普段からよく見られます。
交差点の周辺の建物の大型デジタルサイネージは、プリントタイルやクリアパーツ等で上手く表現されています。
プリントタイルで交差点を再現しています。
特定の建物ではありませんが、日本独自の都市風景として、納得できる選定ではないかと思います。
スポンサーリンク
千鳥ヶ淵公園
皇居西側の千鳥ヶ淵と英国大使館に挟まれる場所に位置し、水面に映る桜の姿も美しい都内でも有数の桜の名所です。
日本のイメージとして「桜」は世界でも認知されているので、桜の名所がセットに含まれるのは納得ですね。
皇居のお堀はクリアパーツで再現され、その両側に桜を組み立てます。
奥にある社寺建築については、説明書に記載がないので特定できないのですが、二層の屋根の形から「大本山増上寺」ではないかなと思いました。
東京タワーのすぐ傍に建つ「増上寺」は600年以上の歴史を誇る浄土宗の寺院で、伝統的な建造物と東京タワーが一緒に見えることでも有名です。
ただ、他の建物かもしれないので、もっと似ている建物を知っている方はぜひ教えてください!
スポンサーリンク
まとめ
この記事では、レゴアーキテクチャーの東京のセットのレビューと、セットに含まれる建物について紹介しました。
全体としてのポイントをまとめます!
・東京のシンボル的な建物や観光地が選ばれている
・塔や建物、交差点などのバランスがいい
・それぞれの再現度も素敵
・全体として東京らしいセット
※ただ、個人的にはコクーンタワーより代々木体育館!
レゴアーキテクチャー初めての日本の街でしたが、東京オリンピックに向けて絶妙のタイミングでの発売だったと思います。
オシャレなセットですので自分用にはもちろん、大人の方へのプレゼントにもオススメです。
それでは、最後まで読んで頂きありがとうございました!
こちらの記事では、ニューヨークやヴェネツィアなどの他のセットを紹介しています。